シェフの紹介:カカオバリー®アンバサダー、サラ・フランクランド
シェフの紹介:カカオバリー®アンバサダー、サラ・フランクランド
未来のペストリーキッチンを思い浮かべてみましょう。私たち全員がロボットに取って代わられていないとしたら(取って代わられていたとしても)、メニューはどうなっているのでしょう?どんな原材料で、どこから来ているのでしょうか?私たちは地球を守るためにどのような努力をし、それが日々の生産にどのような影響を与えているのでしょうか?
サラ・フランクランドは、このような質問を投げかけ、解決策を考え、廃棄物を最小限に抑える措置を講じながら、地元産、さらには超地元産(ハイパーローカル)の食材で思いやりのあるおいしいペストリーやデザートを作っています。
サラにペニーヒルパークでのサステナビリティへの取り組みと、ホテルやスパのゲストの思い出に残るペストリーを作るために地元の食材を使うことについて、話を聞きました。
あなたは現在、イギリス サリー州バグショットにある「ペニーヒル パーク」にいらっしゃいますね。このホテルとサステナビリティへの取り組みについて教えてください。
私たちのホテルグループは、昨年、英国で初めてBコープ*の認定を受けました。
サステナビリティという点では、使い捨てプラスチックの廃止、再生紙を使ったメニュー、印刷物の削減などを行ってきました。可能な限り地元の食材を使い、メニューにはフードマイレージ**を表示しています。
フードマイレージが高いものもありますが、ゲストは自分の考え方に合うかどうか、あるいは地元に近いものを選ぶことができます。
私たちは地元産にこだわっており、それは季節ごとに手に入るものを使うということでもあります。例えば、冬にはベリー類を提供しないのですが、お客様はそのような変更にとても理解があります。地元の食材のストーリーを知ってもらうことが大切なのです。
*認定Bコーポレーションとは、社会的・環境的パフォーマンスに関する最高基準を自主的に満たした企業のことです。
**フードマイレージとは、食品を製造してから生活者に届くまでの輸送距離のことで、食材の環境への影響を判断する1つの要素となります。
現地では、どのような食材を手に入れることができますか?
代表的なものは、蜂蜜ですね。敷地内に10個の巣箱があります。スパのすぐ外には梨の木が生えていて、毎年この梨を使ったデザートを作っています。ミツバチがラベンダーから蜂蜜を作り、梨の木に受粉させて梨を実らせ、その蜂蜜と梨を使ってデザートを作ります。これは、ゲストに地元産の食材がもたらす影響を知ってもらうストーリーのひとつであり、私たちは共有できることをうれしく思っています。
ペニーヒル パークは123エーカーの敷地にありますね。地元産の食材は他にもありますか?
たくさんあります。厨房で食材として使う果物の木やハーブ園もあります。それに、この敷地の多くは野生のままなので、エルダーフラワーや栗、イラクサなどもあります。
だから超地元産(ハイパーローカル)の食材がたくさんあるのですね。その他の地域からは何を仕入れているのですか?
乳製品は地元のものを使っていますし、小麦粉はすべてイギリス産です。バターも、クロワッサンに使うものを除いて、すべてイギリス産です。フランスのバターには何か特別なものがあるんでしょうね!でも、地元の酪農家がその風味を再現するために努力してくれているので、できるだけ早く切り替えるつもりです。
敷地内には、ミシュランの星付きレストランが併設されていますね。人参を完璧な1cm角に切ると、山のような切れ端が出ます。厨房で無駄を出さないために、どのような工夫をしていますか?
私たちは、すべての食材を隅々まで使うよう努力しています。例えば、タルトのシェルを大量に作る際には、切り落としが必要です。その切れ端はすべて取っておいて、クランブルなどに使います。
メニューの中に、「メイド オブ オナー タルト」という伝統菓子があります。これはヘンリー8世までさかのぼる歴史あるデザートです(ロックダウン中、歴史的料理を研究する時間がたくさんありました!)。このタルトに使うチーズは、地元の牛乳を使った自家製なのですが、チーズ作りの最後の工程で乳清がたくさん出るので、それを捨ててしまうのはもったいないと思ったのです。その乳清を使ってシャーベットを作り、タルトに添えています。正直なところ、最初に乳清を試食したときは気に入るかどうか不安でしたが、シャーベットはとても爽やかで、タルトのレモンとよく合います。
卵白はどうですか?ペストリーの製造では、大量の卵白が残りそうですが、マカロンもそうたくさんは作れません。
私たちは分離させた低温殺菌の卵製品を使用しているので、その点は問題はありません。これは英国の会社から入手できるものです。
何か足りないものはありますか?イギリスで手に入らず、遠くから調達することを正当化できないため、あきらめていたものはありますか?
ヘーゼルナッツはクラシックな風味でとても人気がありますが、イギリスでは育てられていません。私は最近、「コブナッツ」を見つけました。ヘーゼルナッツの一種ですが、イギリスのケント州で栽培されているんです。
それから、私はパッションフルーツの風味が大好きなのですが、地元産のものがありません。沙棘についてよく耳にしていましたが、手に入れることができていませんでした。ついに、パッションフルーツのような酸味があって、フローラルな香りも似ているものをみつけました。
ですので、入手が難しいものもありますが、努力次第で地元産の同じようなものを見つけることは可能です。小麦粉もそうです。数年前のディナーで、イギリスの製粉業者の隣に座って話をした時に、これは私たちが追求できることだと気づきました。イギリスには穀物を栽培している地域があり、地元産の小麦粉を手に入れることができるのです。
イギリス特有の農産物もありますし、冷凍ピューレを作る会社があればいいのにと思います。私たちは、地元の果物のピューレをたくさん自家製で作っていますが、購入できるようになればとても便利です。もちろん、ピューレを買うことはできますが、そういった会社はほとんど国外にありますし、グーズベリーやグリーンゲージといったイギリス特有のものに関しては、誰も作っていません。地元の会社から、すでに加工されたものを手に入れることができるのであれば最高です。
今年のワールドチョコレートマスターズ決勝をパリで観戦され、2017年にはUKチョコレートマスターズに出場されましたが、両方の立場から見て、印象に残っていることはありますか?競技者が見ている人に知っておいてほしいこと、あるいはその逆はありますか?
具体的にはありませんが、私が思うには、WCMは、競技者である自分自身や、競技そのものではなく、大切になるのは、自分を追い込むこと、そしてそこで出会う人々だと思います。WCMに参加する人たちは、誰もが意欲と情熱を分かち合っているのです。
今年、特に印象に残ったこと、瞬間やテクニックはありますか?
ショップウィンドウが特に印象に残っています。シェフが、与えられたスペースをどのように使っているかを見ることです。みんなが同じブリーフを受け取って、それぞれのシェフがそれを自分なりに解釈しているところが好きです。課題の説明を超えて、既成概念にとらわれず、独自の視点で考えているのを見ることができます。また、彼らの仕事の背後にあるプロセスを見たり、彼らの思考過程を想像したりするのがとても好きです。
物事にはさまざまな考え方があって、多くの可能性があると知るのは、若いシェフやシェフを目指す人たちにとってとても重要なことだと思います。以前ワールド チョコレート マスターズのジュニア版もありましたが、数年お休みしていました。とても貴重な経験なので、また復活してほしいですね
*シェフ サラの回答は、理解しやすくするため、またより詳しく説明するために、意味が拡大された箇所があります。
誤りがあった場合は、チョコレートアカデミー™の責任となりますので、ご不明な点、ご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
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