コーティング、フィリングの脂肪分の科学

コーティング、フィリングの脂肪分の科学

コーティングやフィリングなどの調理済み製品は、''本物の'' チョコレートと同等の品質でありながら、長い保存期間、使いやすさ、見た目の美しさ、高い効率性といった利点があります。

A shiny, glazed chocolate donut garnished with nonpareils

「チョコレート」と「コーティング」、その違いは?

シンプルに、その違いは脂肪分です。

食品規制の法律上、ココアバターを含む製品だけが「チョコレート」と呼べることになっています。「チョコレート」にはカカオマスが含まれることがあります。

「コーティング」には厳密な定義はありませんが、一般的に植物性脂肪または複数の植物性脂肪を含み、カカオマスではなくココアパウダーが使用されることが多くあります。

チョコレートと同様、コーティングの品質にも幅があり、高品質のコーティングは、風味とつやだけでなく、低コスト、密着性、耐熱性、ひび割れしにくいなどの利点があります。コーティング製品、フィリング製品は、それぞれの用途に合わせて調整されるため、アプリケーションに応じたレシピや手順を簡素化できることになります。

 

 

A variety of filled bakery products: croissants, tarts, macarons

フィリング

一般的な食品安全法以外では、「フィリング」の明確な定義はありません。ある食品を別の食品の中に入れれば、「フィリング」です。文字通り、簡単なことのように聞こえます。

でも実際は、そんなに簡単ではないかもしれません。

実は、この単純すぎる定義は、調理済みフィリングをお店が採用したくなる理由を浮き彫りにしています。風味、テクスチャー、粘度、保存性、適切な温度反応を備えた、安定したフィリングの製造は複雑で、十分な訓練を受けたスタッフによる作業が必要になります。

フィリングも、コーティングと同様、使用する油脂の種類が最終製品に影響します。低温で固くなる種類の油脂は、例えばチルドのタルトには使用できないこともあります。室温で完全な液状になる油脂は、そういった影響を軽減できますが、多すぎると、魅惑的で贅沢とはほど遠い、水っぽい、油っぽいものになってしまいます。

次のセクションでは、油脂をコーティング製品での役割として見ていきますが、油脂の特性や、それらが寄与する食感や風味の要素は変わりません。

Caramel filling of a precise thickness falls from a spatula

脂肪分の種類が重要な理由

脂肪分は、それぞれ異なる性質があります。室温で液体になる油脂、他のものより早く溶ける油脂などです。チョコレートに含まれる脂肪分は、もちろんココアバターです。このユニコーンのような油脂は、シェフやショコラティエには最も馴染みがあり、チョコレートやココアバターを使用する商品の重要な特性を担っています。

ココアバターは、

  • 室温では固体
  • 35℃前後(体温)の融点
  • 高温での保存は非対応

最も高価な油脂のひとつで、価格はパーム油の5倍相当です。私たちが好むつやと固さがあり、ブルーミングのないココアバターにするためにはテンパリングが必要です。

多くの魅力を持つココアバターですが、コスト削減を必要とするシェフや経営者、あるいは、チームメンバーの技術力、時間、人件費の制約のため、安定した商品を作るのに苦労している人にとっては、ハードルにもなりえます。そこで、コーティングやフィリングが役立ってきます。

前述したように、「チョコレート」と「コーティング」の最も顕著な違いは、使用する油脂の種類です。食品に使用可能な油脂は多種多様で、特性を付加するためにその構造を変える手段も多くあります。ここではシンプルに、一般的なコーティング製品の成分リストに記載されている油脂の特性を見てみましょう。

Round, green shea butter fruits hanging from a tree

コーティング、フィリングに使用される油脂の種類

ココアバターに最も類似している油脂:

・シアバター

・イリッペバター

これらの油脂はテンパリングを必要とするものもあり、風味が良く、良質な融解、他の油脂よりも湿気に対する耐性を持っています。ココアバターよりは安価ですが、他の代替品よりは高価です。

 

ココアバターに類似していない油脂:

・パーム油

・大豆油

・菜種油

このカテゴリーに入る油脂(専門的には「非ラウリン系油脂」)の種類は多く、ココアバターとの類似の度合いは様々です。テンパリングが必要なものもあります。風味や融解特性、価格に幅がありますが、どの油脂にも貢献する特徴があり、組み合わせの重要な一部となります。

Split coconuts, solid and liquid coconut oil on a tabletop

ココアバターに最も類似していない油脂:

・ココナッツオイル

・パーム核油

ココナッツオイルは、焼き菓子のバター代わりに使ったり、アイスクリームのコーティングを自分で作ったりしている人には特におなじみではないでしょうか。風味が良く、良質な融解性質を持つ反面、パリッとした食感を維持するためには急速に冷やす必要があり、湿度の影響を受けやすい面も持ちます。また高価でもあります。

このような特性の違いから、コーティングやフィリングには、油脂の特性を生かして最良の結果を生み出すために、異なる油脂の混合が多く採用されます。

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